目次   巻頭言     常任理事 山田敬三  1
各地域部会研究集会・研究会報告  2
研究集会開催予定  4
組織状況  4
編集後記  5



◇巻頭言

西日本部会から
常任理事  山田敬三(福岡大学)

 3年前の7月15日、西日本部会の設立集会を福岡で開催しました。それまで日本現代中国学会の部会は関東と関西にしかなく、九州を中心とした西日本地区の会員は地域の研究集会にはまったく参加できないという現実があったからです。以前、私自身は関西部会の担当理事として、関西地区研究集会の案内を出すたびに、愛知から沖縄までを関西部会へ含めることの無理にいつも違和感を覚えていました。そして、山口以西を分離してはどうか、という提案が99年の全国大会で認められ、以後、西日本部会としての地域活動が始まることになりました。
 とはいってもこの地区の会員数はわずか40名前後、一口に西日本といっても山口や福岡、長崎を結ぶ北の海岸線が中心で、同じ九州でも鹿児島や宮崎との連携は物理的に困難を伴います。況んや沖縄においてをや、です。もともと会員が少ない上に、本来、学会に参加されて不思議でない方でも、日本現代中国学会とは一線を画しておられるという実態があります。
 3年たった今も学会の構成にそれほど大きな変化が生まれたわけではありません。しかし、昨年末から「現代中国講座」と称する月例会がもたれるようになりました。その最大の利点は、ここで若手研究者と旧来からの会員との間に交流の場が保証されるようになったことです。中国に関心をもたれる地元の方々の参加もあります。現在は福岡周辺を中心とした20名程度の小集団ですが、大学院クラスの研究者に公的な発表の場を確保すると共に、西日本地域の学会活動を支えるコアとして機能するようになっています。
 ところで、九州には古来、アジアへの窓口であったという自負と、21世紀を迎えてアジアに活路を見出したいという地元の強い要望があります。そのため、福岡には全国でただ一つのアジア美術館が開設されたり、アジア文化賞という独自のプログラムが行政の手で設けられています。アジア太平洋センターという財団法人も意欲的な活動を続けています。中国研究、アジア研究も古い時代に限定すればかなり活発に行われています。しかし、不思議なことに現代中国を対象とする研究者の陣容は信じられないほど薄弱です。
 その最大の原因は、研究者がほとんど九州大学でしか養成されないという現実、及びその九州大学の学部に現代研究を対象とする講座(中国に限らず)がないというアカデミズム自体の持つ問題があるように見受けます。そうした中でようやく伝い歩きができるようになったばかりの微力な部会ですが、今後ともによろしくご支援下さるよう、この場を借りてお願いしたいと思います。
 なお、今回から学会のニューズレター作成を西日本部会が担当することになりました。会員への広報など連絡事項があれば編集担当理事の新谷秀明氏(西南学院大学)にお知らせ下さい。アドレスは次の通りです。hideaki@seinan-gu.ac.jp


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◇各地域部会研究集会・研究会報告
* 研究集会各報告者の報告要旨は学会ホームページに掲載されます。

関西部会春季研究集会

日時:2003年3月8日(土)
会場:大阪市立大学文化交流センター
集会テーマ「現代中国研究の新動向」
−政治分科会− 司会:副島昭一(和歌山大学)
(1)渡辺直土(大阪外国語大学大学院)「中国における政府機構改革」
コメンテーター  堀 雅晴(立命館大学)
(2)李ミャオ(慶應義塾大学大学院)「教科書問題に見る中国の政策決定過程−1982年の第二次教科書問題を中心に−」
コメンテーター  北村 稔(立命館大学)
(3)生田頼孝(立命館大学大学院)「1920年代の華南における連省による『連邦制』構築の試みとその限界」
コメンテーター  季衛東(神戸大学)
−歴史分科会− 司会:陳来幸(神戸商科大学)
(1)寺阪誠記(神戸大学大学院)「万宝山事件及び朝鮮排華暴動に対する中国の反応」
コメンテーター  田中 仁(大阪外国語大学)
(2)劉 郷英(立命館大学常勤講師)「1990年代における中国の子どもの『生活世界』の変容−3回(5年ごと)のアンケート調査より−」
コメンテーター  西村成雄(大阪外国語大学)
(3)上田貴子(大阪外国語大学大学院)「経営史からみた奉天紡紗廠」
コメンテーター  金丸裕一(立命館アジア太平洋大学)

−経済分科会− 司会:上原一慶(京都大学)
(1)張 暁玲(神戸商科大学大学院)「中国の政府間財政移転交付制度」
コメンテーター  川井伸一(愛知大学)
(2)竹内孝之(同志社大学大学院)「両岸三地の経済交流と制度的統合の必要性」
コメンテーター  古澤賢治(大阪市立大学)
(3)松崎征弘(大阪市立大学大学院)「中国の環境保護産業−環境保護のメカニズム構築を目指して−」
コメンテーター  三次召尚(三次商会)

−文学分科会−(第2研修室) 司会:中島利郎(岐阜教育大学)
(1)唐芸(神戸大学大学院)「台湾詩人の楊華について」
コメンテーター  澤井律之(光華女子大学)
(2)和田知久(大阪外国語大学・OD)「中国同時代文学における"先鋒性"という概念をめぐって」
コメンテーター  宇野木 洋(立命館大学)
(3)好並 晶(関西大学・OD)「1950年代における中国映画人の軌跡」
コメンテーター  斎藤敏康(立命館大学)

関東部会修士論文報告会

日時:4月19日(土)
会場:法政大学市ヶ谷地区ボアソナードタワー22階 現代法研究所会議室
報告
(1) 嶋 亜矢子(大東文化大学大学院)「労働力の流動化と職業教育」
(2) 加島 潤(東京大学大学院)「中華人民共和国建国初期(1949-53年)の私営工業
政策――上海における委託加工・発注を中心に――」
(3) 松村史穂(東京大学大学院)「統購統銷政策と上海市糧食行政(1953〜1955年)」
(4) 葉 習民(法政大学大学院)「50年代日中民間貿易における政治関係」
(5) 康 明仁(法政大学大学院)「中国軍の朝鮮戦争介入についての再検討」
(6) 佐藤 賢(一橋大学大学院)「清末中国の表現者における「語り」と「読者」の位置――呉?人をめぐって」

西日本部会春季研究集会

日時:4月19日(土)午後1時30分−5時
会場:西南学院大学学術研究所大会議室
講演:坂田完治(元西日本新聞北京支局長)「中国共産党・統治思想の変容−
        第16回党大会を中心に」
報告:
(1)武継平(九州大学)「郭沫若「女神の復活」と魯迅の「不周山」」
(2)朝元照雄(九州産業大)「台湾の政治漫画から見た総統選挙」
(3)佐々木揚(佐賀大学)「清末の日本観」


西日本部会月例会「現代中国講座」

日時:3月7日(金)6:30 〜 9:00
会場:九大六本松大学院棟101室
報告:森優(熊本大学大学院)「魯迅と祖父周福清」
横地剛(九州大学非常勤講師)「范泉の台湾意識――40年代後期における台湾の文学状況」


◇研究集会開催予定
関東部会5月定例研究会

日時:5月31日(土)13:30-17:00
会場:東京大学教養学部1号館101番教室(京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩1分)
テーマ:瞿秋白研究
発表者 江田憲治(日本大学文理学部)「中共党史から見た瞿秋白」
鈴木将久(明治大学政経学部)「瞿秋白の翻訳論:魯迅との対話を軸として」
コメンテーター  三木直大(広島大学総合科学部)   白井澄世(東京大学院生)
司会  山口守(日本大学文理学部)

研究会に先立って12:30より9号館2階中国語研究室にて関東部会理事会を開きます。理事の方はよろしくご参集下さい。


関西部会夏季研究集会

日時:2003年7月12日(土)
場所:大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル6F)


[編集後記]

 今号から、西日本部会の新谷が編集に当たっています。やむを得ぬ事情により前編集者の瀬戸さんからバトンをリレーされたわけですが、年来およそ学会というものに非協力的であった我が身ゆえ、この任務にはかなりのプレッシャーを感じます。とはいえ、立ち上がって間もない西日本部会にせっかくご指名を頂いたわけですから、ここはひとつ学会運営に微力ながらもお手伝いするのが筋と、お引き受けした次第です。
 編集を引き受けた以上、できるだけ誌面の充実を図りたいと考えています。機関誌としての最低限の連絡事項のほかにも、学会員間の交流促進を目的とした諸情報も今後取り上げることができたらと思います。例えば会員の新著紹介、海外の学会情報などがあってもよいのではないでしょうか。すでに巻頭言に山田敬三理事が当方のアドレスを書かれていますので、そういった交流情報やご意見があればぜひお寄せください。学会のホームページがすでにありますので、ホームページと重複する情報はある程度割愛し、ニューズレターの独自性を出していきたいと考えています。
 ニューズレター発行の時期も今回から若干変更させていただきました。これまで4、8、12月発行となっていましたが、今後は5、9、1月を原則とします。様々な日程を考えてのことです。
 SARSが各地で猛威をふるい、中国やアジア各国への研究旅行に二の足を踏んでいる会員も多いのではないかと推測します。これ以上被害が拡大しないことを祈るばかりです。どうか皆様もご健康にはくれぐれもご留意ください。(新谷記)








日本現代中国学会各連絡先―――――――――――――――――――――――――――

全国事務局(関東事務局を兼ねる) http://homepage3.nifty.com/xiandaizhongguo/
〒153-8902 都内目黒区駒場3-8-1 東京大学教養学部中国語研究室気付
電話 03-5454-6420   E-mail :xiandaizhongguo@nifty.com
(連絡所)
〒112-0012 都内文京区大塚6-22-18 社団法人中国研究所
電話 03-3947-8029 FAX 03-3947-8039

関西部会事務局 
〒564-8680 大阪府吹田市山手町3丁目3番35号 関西大学経済学部石田浩研究室気付
TEL. 06-6388-1121(大代表) または072-848-3424
E-mail : ttym@daishodai.ac.jp

『現代中国』編集委員会
〒572-8508 寝屋川市池田中町17-8 摂南大学国際言語文化学部瀬戸宏研究室気付
TEL 072-839-9195      E-mail : seto@ilc.setsunan.ac.jp

西日本部会事務局
〒814-0180 福岡市城南区七隈八丁目19-1福岡大学人文学部山田敬三研究室気付
TEL:092-871-6631(代) Fax:092 -864-2864  E-mail :kyamada@fukuoka-u.ac.jp