第4報告(15:00〜15:50)
「中国人材派遣法の立法化――先進諸国における労働者派遣法の考察から」
太武原(大阪経済大学)
 グローバル化、サービス化、情報化の進展により先進諸国の労働市場は大きな構造変化を遂げており、人材派遣業はこのような雇用形態の多様化、労働の柔軟性が進む中で、新たな働き方として「雇用の創出」と「能力の開発」など雇用の側面から各国経済に大きく貢献し、その就労形態は拡大されている。その背景の1つは、先進諸国における派遣に対する特別立法または関連法律の確立であると考えられる。
 一方、中国は社会主義市場経済の深化と労働・人事制度の改革の進展に伴い就業形態の多様化が進められており、政府としては目下失業・雇用問題の解決策の一環として積極的に人材派遣など新しい就業形態の大きな発展を提唱している。しかし、中国における人材派遣業はごく最近提起された概念であり、しかも人材派遣業に対する法律・法規が未確立であるため、派遣事業の適正な運営が確保されているとは言い難く、派遣人員の権利も侵害される事件が多発し、人材派遣業の健全な発展を妨げる要因の1つになっている。
 筆者は、人材派遣業に関する内外の研究、とりわけ先進諸国における労働者派遣法の実態を概観しつつ、中国の人材派遣業の実態と関連現行法を分析し、先進諸国の労働者派遣法を踏まえながら中国における人材派遣法の立法化について政策提言をする。