第５報告（15:00～15:50）
「中国における私費留学政策の変容」
李昱（愛知大学大学院生）
中華人民共和国において、改革開放政策開始後から現在に至る留学政策は、国費派遣と帰国促進を中心とする。いっぽう「清末以来もっとも寛容な規定」と言われる「私費出国留学に関する暫定規定」（「関于自費出国留学の暫行規定」）が1984年12月26日に、国務院によって公布されたことで、私費留学が本格的に始まった。その一年後、私費留学者の数は国費派遣留学生の倍になり、20世紀末在米私費留学生は留学生総数の90%以上を占め、在日私費留学生も留学生総数の85%以上占め、私費留学は留学生の大部分を占めるようになった。この20年余りの間、留学政策はどのように展開され、現在どの段階にあるのか。とりわけ今後の展開は、中国留学政策において、さらに重要になるであろう。
今回の報告は、中国において改革開放政策開始後、私費留学がどのように始まり、展開したのかを検討し、そこにあるいくつかの問題、すなわち私費留学に関連する政策とその動向および21世紀に入ってからの変化を、日本にいる私費留学生の実態と中国政府の発信から読み取り、現代中国における留学政策の変化の原因と意義を明らかにすることを狙いとする。